仲介手数料のルールとは?
賃貸借契約にあたって、不動産業者が受け取ることのできる仲介手数料は、賃料の1ヶ月分が上限と定められています。
例えば毎月の賃料が12万円のとき、仲介手数料の上限額は12万円(これに消費税を加えた額)となるわけです。契約の間にA社とB社が関わったときでも、合計手数料の上限額は同じです。また、貸主と借主の双方から仲介手数料を受け取るときでも、この上限額が変わることはありません。
したがって、貸主から半月分の手数料を受け取れば、借主から受け取ることのできる手数料も半月分が上限となります。また、借主または貸主の一方から1ヶ月分の仲介手数料を受け取るためには、あらかじめ当事者の承諾が必要で、その承諾がない場合には借主または貸主の一方から受け取ることのできる仲介手数料の上限額を、それぞれ半月分までとすることが本来の規定になっています。
ところが、十分な説明がされないままでこの承諾をあったものとして取り扱い、借主から1ヶ月分の仲介手数料を受け取ることが半ば慣例となっていました。物件を貸す側が優位だった時代には「半月分の手数料しか支払わない」と主張すれば、賃貸借契約そのものを断られるのがオチだったでしょう。
「仲介手数料無し」にはワケがある?
住宅の数が充足し、賃貸物件でも空室が目立つようになると、貸主(オーナー)にとって少しでも早く借主をみつけることが重要課題となります。不動産業者に仲介手数料を支払ってでも、すぐに入居してもらうほうが良いのです。
例えば3ヶ月間にわたって空室になるより、1ヶ月分の手数料を支払って1ヶ月間の空室で済むほうがメリットは大きいでしょう。その代わりに借主が負担する仲介手数料を無しにすれば、早めに契約できる可能性が高まります。
また、従来は借主から仲介手数料として1ヶ月分を受け取り、それとは別に貸主から広告料として同様に1ヶ月分程度を受け取るケースも少なくありませんでした。しかし、名目は広告料でも実質的に仲介手数料と変わらないことも多く、法を逸脱したグレーゾーンとしての認識も次第に強まったため、それを改めようとする業界内部の事情の変化も背景にあるでしょう。さらにインターネットの普及によって、不動産業者における業務の効率化が進んだことも無関係ではありません。
しかし、貸主から依頼を受けて手数料を得るのがA社、借主をみつけようとするのがB社だった場合、借主の仲介手数料を無しにすればB社は収入を得られず、A社から分けてもらうしかありません。そのため、仲介手数料無しなどとして募集をする際には、主に自社が貸主から手数料を得られる物件を紹介することになります。仲介手数料無しにこだわれば選択の幅が狭まることにもなりかねませんから、よりたくさんの物件を紹介してもらったり、入居まできちんとサポートしてもらったりすることを目的として、あえて仲介手数料が必要な物件を選ぶことも一つの考え方です。
仲介手数料無しの他にも「お得」な契約条件がある
従来は賃貸物件を借りるとき、敷金3ヶ月分、礼金2ヶ月分、仲介手数料1ヶ月分、それに前家賃とで、賃料6~7ヶ月分程度の費用がかかる例も少なくありませんでした。しかし、最近では仲介手数料が無料になるだけでなく、敷金2ヶ月分で礼金無し、あるいは敷金も礼金も無しといった条件で借りられる場合もあります。いずれも早期契約や周囲の競合物件との兼ね合いを意識したものでしょう。
さらに、入居当初の数ヶ月間の賃料を無料にする「フリーレント」のシステムを取り入れている物件もあります。
初期負担費用を抑えて借主が入居しやすくするための方策ですが、敷金や礼金がない代わりに、毎月の賃料が相場より高めのままといったケースもあります。入居時の費用だけではなく、入居後の負担も考えてしっかりと見極めることが大切です。
賃貸借における仲介手数料のまとめ
- 最近では、仲介手数料はあるもののフリーレントでトータルでは安い物件もあり。トータルコストで考えよう
- 賃貸借における仲介手数料は、賃料の一カ月分に相当する金額以内
- 仲介手数料なしのメリットは、ユーザー側がうれしいだけでなく貸主側も空き部屋にするよりも手数料がとれなくても入居してもらったほうがいいという理由があるため
- 仲介手数料なしのデメリットは、よりたくさんの物件を紹介してもらったり、入居まできちんとサポートしてもらいたい人には不向きな点
- 最近では仲介者=貸主という取引も多くなっているため、そもそも請求が発生しないことも
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